最近は若い世代にも人気がある平屋住宅ですが、なぜ平屋住宅が人気なのか?
今回は平屋住宅の魅力はもちろん、ローコストからハイグレードまで予算に応じた間取り例などを紹介していきます。
「平屋なら安く建てられる」と考える人も多いですが、実はそうとも言えない理由があります。
注意点を含めて平屋の特徴を解説するので、ぜひ参考にしてください。
平屋を建てるのに必要な予算は?

まずは平屋を建てる際の予算について解説します。
希望する平屋住宅の広さと予算に応じて、住宅会社を決めるようにしましょう。
予算別だと「ローコスト」「ミドルクラス」「ハイグレード」の3つに分けることができます。
ローコスト | 30~50万円 | ローコスト住宅 |
ミドルクラス | 50~70万円 | 地元工務店や中堅ハウスメーカー |
ハイグレード | 70~100万円 | 大手ハウスメーカー、建築設計事務所 |
30坪の平屋を建てる際の目安予算は下記となります。
ローコスト | 1,200~1,500万円 |
ミドルクラス | 1,700~2,000万円 |
ハイグレード | 2,200~2,700万円 |
平屋の「坪単価」は実は高い
冒頭でも少し書きましたが、一般的なニ階建て住宅よりも、実は平屋の方が建築費は割高になります。
これはハウスメーカーや工務店に関係なく、同じ大きさの家だと坪単価で1割程度アップすると考えておくのがよいでしょう。
平屋の方が高額になる理由としては、基礎や屋根の面積が広くなるからです。
下の図を見ればわかる通り、平屋と2階建てで同じ広さの家を建てようと考えた場合、「縦」ではなく「横」に広い平屋の方が、屋根や基礎の面積が広くなってしまうためです。

ローコスト住宅メーカーで建てる場合の予算は?
ローコスト住宅で30坪(3LDK)の平屋を建てる場合の予算ですが、建物本体のみの工事費であれば30坪で1,200~1,500万円くらいを想定しておくとよいでしょう。
ただし、付帯工事や諸経費が別途かかるので注意してください。
本体工事費 | 1,200~1,500万円 |
付帯工事 | 240~300万円 |
諸経費 | 120~150万円 |
消費税 | 150~180万円 |
合計 | 1,710~2,130万円 |
もちろんローコスト住宅を建てるといっても地域によって大きな金額差が出てくるので、具体的な相場を知りたい人は、自分の住んでいる地域にある会社のカタログを取り寄せてみましょう。
カタログは「LIFULL HOME’S」などのポータルサイトを使えば、地域別で選べますし、無料で取り寄せられるので便利です。
坪数別のおおまかな予算総額一覧
ローコスト | ミドルクラス | ハイグレード | |
---|---|---|---|
20坪 | 900~1,000万円 | 1,300~1,400万円 | 1,800~2,000万円 |
25坪 | 1,125~1,250万円 | 1,625~1,750万円 | 2,250~2,500万円 |
30坪 | 1,350~1,500万円 | 1,950~2,100万円 | 2,550~2,850万円 |
35坪 | 1,400~1,680万円 | 2,100~2,380万円 | 2,975~3,395万円 |
40坪 | 1,720~1,880万円 | 2,400~2,640万円 | 3,600~3,800万円 |
45坪 | 1,935~2,070万円 | 2,655~2,925万円 | 3,960~4,185万円 |
50坪 | 2,100~2,250万円 | 2,900~3,200万円 | 4,300~4,550万円 |
建物が大きくなると坪単価は反比例して下がるのが一般的です。
ただし2階建て住宅に比べて、平屋の方が下がる単価は低い傾向にあります。
ハウスメーカー別の坪単価に関しては、「ハウスメーカーの坪単価ランキング」の記事でまとめているので、こちらも参考にしてください。
快適な平屋をつくるための間取り例

2階建て住宅よりも平屋の方が間取りで悩まれる方が多いです。
平屋住宅はワンフロアに全ての間取りを詰め込まなければならず、動線をより意識した間取りづくりをする必要があるからです。
ここでは平屋住宅の間取り例を、タイプ別にいくつか紹介するので参考にしてください。
家づくりで失敗しないためには、なるべくたくさんの間取りを見て、自分の理想のイメージを固めることが大事です。
間取り図は各住宅会社のカタログを取り寄せれば解説付きで色々と載っているので、時間があるときにぜひたくさん見ておいて下さい。
「LIFULL HOME’S」などのポータルサイトを使えば、予算に合わせて無料で取り寄せることができます。
※参考:予算ごとのカタログ特集ページ
・ローコスト住宅(1000万円台)
・2000~2500万円の住宅
・2500~3000万円の住宅
・3000~3500万円の住宅
・平屋のカタログ特集
2LDKの場合
社名 | レオハウス |
商品名 | CoCo |
延床面積 | 98.54㎡(29.8坪) |


約20帖の広めのLDKを中心に主寝室と子ども部屋があるシンプルな2LDKの間取りです。
脱衣所と別にランドリールームを設けてあり、そこから庭のウッドテラスに直接出られるようになっていて洗濯物を干すまでの家事動線も最短ルートを確保してあります。
少し気になる箇所としては、玄関まわりの収納スペースが少ない点です。
3LDKの場合
社名 | セキスイハイム |
商品名 | ハイムbj |
延床面積 | 98.98㎡(29.3坪) |

先に紹介した2LDKの間取りと同じ約30坪の平屋3LDKタイプの間取りになります。
LDK19畳、主寝室7.5畳、子ども部屋はそれぞれ5.2畳とオーソドックスな広さに揃えてあります。
こちらの間取りで注目ポイントは以下の3箇所です。
- L型のLDKと一体となったウッドデッキ
- LDK内の畳スペース
- リビング部分が吹抜けのようになっている傾斜天井
気になるポイントとしては畳スペースの広さです。
ここを半間(約90㎝)小さくしておけば駐車スペースを並列で確保でき、全体の外観も良くなったのではないでしょうか。
4LDKの場合
社名 | ヘーベルハウス |
商品名 | 平屋 |
延床面積 | 109.12㎡(30.0坪) |


先に紹介した2LDKや3LDKと同じように約30坪の4LDK平屋です。
同じ30坪の平屋なのに部屋数が多いこちらの間取りが、一番広くLDK(24帖)を確保できていることを不思議に思う人も多いのではないでしょうか。
もちろん主寝室や子ども部屋を小さくした訳ではなく、こちらも十分な広さが確保されています。
その理由は廊下スペースを最小限に抑えて無駄な空間を一切排除しているからです。
そしてもう1点紹介しておきたいのが主寝室と子ども部屋は変幻自在にいつでも変更できる仕様になっていることです。
間仕切りに使用されている収納スペースは移動できるようになっており、子どもの成長などに合わせて部屋の数や広さが自由に変更できます。
予算別で比べる人気ハウスメーカーの間取り図

次は間取り別ではなく、予算別にどのような平屋住宅を建てることができるのか紹介していきます。
こちらのブロックでは建物本体の工事価格ではなく、付帯工事や諸経費まで含めた建築費の総額別にまとめています。
総額2,000万円の間取り


社名 | アイフルホーム |
商品名 | 不明 |
間取り | 3LDK |
延床面積 | 112.75㎡(34.1坪) |
推定総額 | 2,100~2,200万円 |
敷地も広いので北側に建物を寄せれば南玄関にも出来たはず。
それをしなかったのは南側の屋根前面に太陽光発電システムを設置したかったのだろうと予測できます。
間取りもご家族のこだわりが強くでていて、料理好きな奥様なのでしょう。
独立型のアイランドキッチンにすることで、家族みんなで調理するだけの広さが確保できていますし、何よりパントリーが4畳ほどの広さがあるのには驚きです。
総額3,000万円の間取り


社名 | ヤマダホームズ |
商品名 | Felidia(フェリディア) |
間取り | 3LDK |
延床面積 | 128.35㎡(38.8坪) |
推定総額 | 3,150~3,300万円 |
最初に目につくのが大きな屋根。
平屋住宅は屋根のかけかた1つで印象も全然違ってくるので、どの屋根タイプにするかはとても大事な要素になります。
どっしりとした外観にしたいのであれば、この家のように大屋根を載せるのもいいですし、軒を深くすることでより重厚感を出すことができます。
この間取りから読み取れるのは、LDKから直接子ども部屋に通じているのではなく独立した部屋になっていることから、お子さんが中学生や高校生になったときのことを考えて部屋の配置をしたのかなと感じます。
平屋でこのようにLDKと隣接しない部屋をつくるには、それなりの広さが必要で最低でも35坪以上を検討するのが望ましいかと思います。
総額4,000万円の間取り


社名 | 住友林業 |
商品名 | グランドライフ・テラススタイル |
間取り | 4LDK |
延床面積 | 134.98㎡(40.83坪) |
推定総額 | 4,180~4,350万円 |
住友林業の平屋はとても人気が高い商品です。
LDKとウッドテラスが一体化されており、第二のリビングのようにテラスを使える間取りになっています。
木造住宅でここまで大きな開口がある窓は設置しづらいのですが、ビッグフレーム構法を採用している住友林業だからこそ、この大パノラマをリビングから堪能することができます。
大きな軒がある屋根になっているので、夏の日差しや少々の雨も気になりません。
間取りで気になるのは主寝室と隣接して浴室がある点でしょうか。
子どもさんが小さいときは気にならないかもしれませんが、高校生や大学生になると帰宅も遅くなり夜中にお風呂を使いづらくなる心配があります。
総額5,000万円の間取り


社名 | 日本ハウスHD |
商品名 | 日本の家・檜の家 |
間取り | 6LDK |
延床面積 | 219.60㎡(66.4坪) |
推定総額 | 5,000~5,200万円 |
平屋の66坪は相当大きな家です。30坪くらいの2階建て住宅の1階部分が15坪くらいなので、単純計算でもその4倍の広さがあります。
間取りをみてもらえばわかるように、ここまで広いと家の中にお庭をつくることも可能です。
中庭ではお客さんを呼んでBBQをすることも多いらしく、玄関から土間を通って直接中庭に行けるように工夫されています。
せっかくこれだけ大きな邸宅なのですから、トイレと同じように洗面室もあと1つくらい有ってもよいのかなと思います。
平屋はどんな人におすすめ?デメリットは

なぜ平屋が選ばれるのか?平屋のメリットについて詳しく解説します。
同じく平屋のデメリットもありますので、それらを理解して平屋住宅を検討するようにしましょう。
本当のバリアフリー住宅
平屋住宅と2階建て住宅の一番の違いは、1階と2階をつなぐ階段がないことです。
バリアフリー住宅という言葉を耳にすることがありますが、2階建て住宅の場合は本当の意味でのバリアフリー住宅にすることはホームエレベーターでも設置しない限り不可能です。
しかし平屋住宅であれば、1階のワンフロア―のみなので真のバリアフリー住宅にすることができます。
地震や台風などの災害に強い

平屋は2階部分の重量を支える必要がないため、2階建て住宅と比べて圧倒的に地震時の荷重が小さく、建物への負担を抑えることができます。
大地震や大型台風に見舞われてしまったとして、平屋のほうが崩壊や倒壊するリスクが少ないというのは大きな安心材料と言えます。
広い部屋や大きな窓を設置しやすい
平屋住宅は2階を支えるための柱や壁を作る必要がありません。
これは間取りを考える上では重要なポイントで、柱や壁が不要なことで、広い部屋をつくることもできますし、大きな窓を設置することも可能です。
プランニングという面では、2階建て住宅より平屋住宅のほうが自由度が高く、より理想的なマイホームを建てることが可能です。
メンテナンス費用が安い
長年暮らしていると家のメンテナンスは必須で、特に費用がかかるのが、外壁の塗装です。
外壁の塗装は10年~15年に一度必要で、費用は70万円~100万円(延床30坪)になります。
しかし、平屋住宅だと2階部分がないので塗装費用も安く済みますし、割高な足場を組む費用もかかりません。
平屋住宅だと外壁塗装の費用相場は50万円~70万円(延床30坪)ほどです。
デメリット
一般的に言われている平屋住宅のデメリットは以下の2つです。
- 坪単価が高くなる
- 広い土地が必要だから土地代も高くなる
2階建てに比べ、平屋の建築費が高くなってしまうのは当記事でも紹介した通り、基礎や屋根の面積が関係しています。
坪単価にして10,000~20,000円ほど高くなると考えておくのがよいでしょう。
平屋住宅を建てるには広めの土地が必要になるので、土地から購入する人には大きな出費になります。
土地には建ぺい率というものが決まっており、「建ぺい率50%」の土地に30坪の平屋住宅を建てようと思えば最低60坪の土地が必要になります。
しかし、30坪の総二階建て住宅を建てるのであれば、最低30坪の土地があれば建てることができます。
1坪30万円の土地と仮定した場合、これだけで900万円も予算が違ってきます。
よくある質問

平屋住宅に関して、今回紹介しきれなかった部分や、インターネットなどでよく質問されている内容などをまとめてみました。
土地の広さはどれくらい必要ですか?
30坪~35坪くらいの平屋住宅であれば、80坪以上の土地が理想だと言われています。
駐車場の台数や庭の広さなどによっても変わってきますが、80坪以上あれば駐車場3台以上、BBQなどができる広めのウッドデッキや庭を十分に確保することができます。
40坪を超える平屋であれば土地の広さは100坪ほど欲しいところです。
採光や通風は悪くなりますか?
まわりに住宅が密集しているような立地だと、採光や通風の問題が発生する可能性があります。
そのような土地に平屋を建てるのであれば、建物の形をL型やコ型にして対処することも可能です。
平屋住宅を建てた経験が豊富な業者ほど、良い間取りを提案してくれますので、建築業者は平屋住宅の実績が多い業者を探すことをおすすめします。
2階建てより室内は暑いですか?

平屋の場合だと居室部分が屋根に面しているので、断熱対策をしっかりしておかないと2階建て住宅より室内が暑くなってしまう恐れがあります。
屋根の勾配を工夫するだけでも違いますし、小屋裏部屋のようなスペースを設けることで暑さ対策はできます。
もちろん天井断熱を屋根断熱に変更するのもいいですし、外断熱を標準仕様としている住宅会社に建築をお願いするのも有効な暑さ対策になります。
まとめ
今回解説したように、単純な坪単価で考えると、平屋はコスパが良い住宅とは言えません。
しかしコスト面で考えるなら、将来的なメンテナンス費用が安いという強みもあります。
また別の側面では、地震や台風に強いというメリットがあります。
2階建て住宅と比べてメリット・デメリットのどちらもありますので、家族や住宅会社と相談した上で、平屋にするかどうか慎重に検討してみてください。
最近は平屋人気が高まっているので、各社のカタログも充実してきています。
気になるハウスメーカーのカタログを色々と見比べて、後悔しない間取りを検討しましょう。
※参考:予算ごとのカタログ特集ページ
・ローコスト住宅(1000万円台)
・2000~2500万円の住宅
・2500~3000万円の住宅
・3000~3500万円の住宅
・平屋のカタログ特集