家の傾きは直せる?リフォームや解体の費用相場と放置の危険性を解説

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家が傾いてしまうと資産価値が大きく下がるだけでなく、住んでいる人の健康にも被害が及ぶ可能性があります。

傾きの原因を早い段階で特定することで軽微な修繕で対応できたり、健康被害を最小限に抑えることにも繋がります。

今回は家の傾きの原因、修繕方法や費用だけでなく、傾いた家の売却についても詳しく解説していきたいと思います。

目次

家が傾く原因と調べ方

建物が傾いてしまう原因として、以下のように2つのケースが考えられます。

1:地盤沈下や土地の液状化が原因の場合
2:建物の劣化やシロアリが原因の場合

それぞれについて解説します。

地盤沈下や土地の液状化が原因の場合

出典:内陸でも液状化が起こる理由|日本経済新聞

地盤が弱い土地に十分な補強もせず建物を建ててしまうと、建物の重さで地盤が沈み家が傾いてしまうことがあります。

地盤の強度については家を建てる前に住宅会社がしっかり調査してくれるので、地盤が弱い場所は十分な地盤補強をすることで地盤沈下を防ぐことができます。

同じく土地の問題として液状化現象があります。

地震などで地下水が地上に浮き出てくる現象のことで、海や川、池などが近くにあったり、埋立地などで起こりやすいと言われています。

出典:震度7の地震で発生した「液状化現象」とは-ウェザーニュース

液状化現象によって家が傾いてしまった場合の修繕方法ですが、硬い地盤層に杭を打ち込むアンダーピニング工法が向いていると思います。

アンダーピニング工法の詳細は、次の「家の傾きを修理する方法と費用相場」でまとめています。

建物の劣化やシロアリが原因の場合

土地に問題はなくても、建物の劣化やシロアリ被害が原因で家が傾くこともあります。

築年数が古いと、家を支えている木材(柱や土台)が腐ってしまうことで家を支えることができなくなり傾きが起こります。

シロアリに浸食されたことで柱の耐久性が落ち、家が傾く原因にもなります。

建物の劣化や欠陥住宅で家が傾いてしまった場合の修繕方法ですが、こちらは比較的安価な土台上げ工法でも十分に対応できます。

傾きの調査をプロに依頼する場合の費用

リフォーム業者に相談する前に専門の業者に調査してもらい、家の傾きの原因と対策方法について説明を受けることをおすすめします。

その場合の調査費用ですが、ホームインスペクションという住宅診断を利用した場合、30坪~40坪の一軒家だと7万円~15万円ほどが相場となっています。

少し高いと思うかもしれませんが、家の傾きの原因だけでなく、建物全体の診断をしてもらえるので他に修繕が必要な個所などを特定することもできます。

自分で傾きを調べる方法

専門業者に依頼する前に自分で傾きを調べる方法をいくつか紹介しておきます。

・ビー玉やゴルフボールを転がしてみる
・スマホアプリで調べる
・水平器を購入して調べる

家の中で戸の建付けが悪くなっていたり、床がきしむ場所の近くでビー玉やゴルフボールを床に置くと自然にコロコロ転がってしまう場合は要注意です。

今はスマホアプリでも傾斜角度を調べたりすることもできますし、一番確実で手軽な方法は近くのホームセンターで水平器を購入して調べることです。

調べる際は、水平器の精度に気をつけてください。

100円ショップなどでも水平器を購入することはできますが、精度はお世辞にも良いとは言えません。

多少金額は高くなりますが、精度±2mmくらいの商品を選ぶことをおすすめします。

分からない場合はホームセンターのスタッフに相談するようにしましょう。

家の傾きを修理する方法と費用相場

傾いたしまった家でも、修復工事をすることで傾きを直すことはできます。

修復工事の内容は、傾いてしまった理由や傾きの度合いによって違ってきますので、適切な方法で対処するようにしましょう。

修復工事の主な方法は以下の3通りです。

・土台上げ工法
・ダブルロック工法
・アンダーピニング工法

それぞれの特徴を解説します。

土台上げ工法

出典:株式会社エヌプラス四国

傾きが軽傷の場合に用いられるのが土台上げ工法です。

工期は1週間~10日ほどで、100万円~200万円ほどの費用が目安となります。

土台上げ工法は、基礎と建物の土台部分を切り離し、ジャッキなどで建物を持ち上げて水平にした状態で隙間部分をモルタルなどで埋めてしまいます。

ただし応急処置にしかならず、地盤の沈下などが継続している場合は、経年と共に再度家が傾いてしまう可能性があります。

土台上げ工法のメリット
・騒音、振動、埃が少ない
・コストが低い
・工期が早く、住みながら工事できる

土台上げ工法のデメリット
・地盤を補強する訳ではないので、再度家が傾く可能性がある

ダブルロック工法

出典:工場床の沈下修正(コンクリート土間空洞充填)|曳家工事・沈下修正 我妻組

ダブルロック工法は、地盤へ特殊な薬液を圧力注入することで新たな強い支持地盤をつくる工法です。

収縮性が少ないので、経年による再沈下の可能性は低くなります。

工期は3週間~1ヵ月ほどで、300万円~500万円ほどの費用が目安となります。

ダブルロック工法のメリット
・傾きの修正と地盤補強が同時にできる
・新たな支持地盤をつくることで効果が長続きする
・1mm単位の調整が可能

ダブルロック工法のデメリット
・比較的新しい工法なので業者により施工にバラつきが出やすい

アンダーピニング工法

出典:沈下修正の最上級工法!アンダーピニング工法を徹底解説|家の傾きは直せる!おすすめの家屋傾斜修正会

アンダーピニング工法とは、傾いた建物の周囲を掘削し鋼管杭を支持層まで打ち込み、新たな基礎を新設する沈下修正工法です。

上図をみてもわかるように、かなり大掛かりな修正工事になるので費用も日数も掛かります。工期は4週間~6週間ほどで、500万円~800万円ほどの費用が目安となります。

ただし費用に関しては強固な支持地盤がある深さによって大きく変わってくるので、リフォーム会社をしっかりと比較検討することをおすすめします。

アンダーピニング工法のメリット
・後々、再沈下する可能性が低い
・他の工事が難しい軟弱地盤でも対応できる
・工事後の保証が手厚い

アンダーピニング工法のデメリット
・工事費用が高い

自分で傾きを直すことはできる?

今回紹介したようなダブルロック工法やアンダーピニング工法は、素人のDIYでは出来ません。

そもそも家の傾きを修正工事するのはプロでも大変な仕事なので、素人が片手間で出来るものではありません。

しかし、どうしても費用をかけずに自分で何とかしたいという人は、土台上げ工法をアレンジしたやり方が1つあります。

それでも油圧ジャッキを10台ほど購入しなければなりませんし、正確に水平を取れるだけの知識もいりますし、床を剥ぐくらいの大掛かりな工事になるという覚悟も必要です。

もちろん、家の傾きの原因が建物でなく、地盤側にあるのでしたら土台上げ工法では再沈下してしまう可能性が高いことも理解しておく必要があります。

保証や保険を使って直すことはできる?

家を建てたときの住宅会社によって地盤保証の期間は様々です。地盤保証の平均的な期間は完成後10年ですが、最近は30年保証という会社もあります。

当然、この保証期間内で家が傾いたのであれば保証で対応してもらうことができます。

次に保険ですが、こちらは地震によって家が傾いた場合は地震保険の対象となる場合もありますし、火災保険の内容次第では雪災や風災などで家が傾いた場合にも保険金を受け取れる可能性があります。

傾いた家を放置するとどうなるのか

傾いてしまった家をそのまま放置すると、建物の重みで傾きがひどくなるのはもちろん、ちょっとした地震でも建物が倒壊してしまうリスクがあります。

また、傾いた家は人体へ悪い影響を与えてしまうので、傾きを放置したままだと人体への影響はより深刻になっていきます。

倒壊してしまう危険性はあるか?

地盤沈下が原因による家の傾きであれば、少しずつ沈下は進み、家の傾きはどんどんひどくなっていくだけです。

傾きがひどくなると、外壁などにも亀裂が入り、そこから雨漏りを起こす可能性もありますし、最終的には建物が倒壊してしまう恐れもあります。

体調不良や健康被害につながる可能性は?

傾いた家で生活していると自律神経や三半規管に悪影響を与え、頭痛やめまい、食欲不振や不眠などの症状を引き起こします。

私も傾いた家の売却立ち合いで、ほんの10分ほど家の中にいただけで吐き気や頭痛が起こった経験があります。

このようにすぐ症状が出る人もいれば、症状が出るまでに時間が掛かってしまう人もいるので、家族の誰かが体調不良を訴えた場合は早急にリフォームなどの対処をしましょう。

もう住まない場合は売却できる?

傾いた家でも売却することはできます。

しかし、傾いたまま売却するのであれば、建物の評価は低くなることは覚悟しておかなければなりませんし、実際に売れるまでには時間がかかってしまう可能性もあります。

ただ、中には建物ではなく「土地」が欲しいという人もいるので、最初から諦めずに売却の相談はしてみるべきだと思います。

1社2社に相談した程度だとなかなか買い手が見つからないと思うので、不動産大手6社が運営する「すまいvalue」やポータルサイトの「SUUMO」などを使って、幅広く買い手を探すのが良いと思います。

それでも見つからない場合は、かなり値段が安くなってしまいますが、個人ではなくプロの「買取専門業者」に査定を依頼することになります。

詳しくはこちらの「マンション買取業者はどう選ぶ?」の記事で解説しているので参考にしてください。

※記事のタイトルは「マンション」となっていますが、戸建てでも考え方は同じです。

解体することになった場合の費用相場は?

建物を解体する際の費用相場ですが、一般的な木造2階建て住宅であれば「坪あたり5万円」くらいを想定しておくのが良いでしょう。

インターネットをみると坪あたり3万円くらいと紹介されているケースも多いのですが、直近ではコロナ禍や戦争などの影響もあり建築関係の費用が高騰しており、解体も例外ではありません。

40坪くらいの二階建て木造住宅であれば、解体費用は170~200万円くらいを見ておきましょう。

解体費用については「家の解体費用はいくら?安く土地を更地に戻すためのコツ」で詳しく解説しているので参考にしてください。

よくある質問

家の傾きに関して、今回紹介しきれなかった部分や、ネットなどで良く質問されている内容などをまとめてみました。

3センチ程度の傾きは気にしないでいいってホント?

家の傾きが10/1,000というのは1mにつき1㎝傾いているという解釈になります。

10/1,000を角度で表すと0.57度となります。

傾きが0.6度を超えると人体に悪影響があると言われているので、3センチの傾きは修繕レベルに値します。

家の傾きはどこまでなら許容範囲?

新築時の傾きの許容範囲は3ミリ以下、中古住宅の傾きの許容範囲は6ミリ以下だと言われています。

人体への影響を考えると10/1,000がぎりぎり許容範囲だと思いますが、理想としては6/1,000以下の数値だと考えておくのが良いでしょう。

スマホアプリで傾きを調べられるの?

Iphoneであれば標準アプリとして「コンパス」が装備されています。

Androidスマホでも無料の測定アプリがあるので、気軽に家の傾きを測りたい人にはおすすめです。

ただし、スマホアプリの信頼性はあまり高くありません。あくまでも目安程度と考えておくのが良いでしょう。

まとめ

傾いてしまった家は、放置しておくと最悪倒壊してしまう恐れもあります。

できるだけ早く専門家を呼んで、原因と対策を考えましょう。

もし相続などで誰も住んでいない家の場合は、傾きがこれ以上ひどくならないうちに、売却して手放すというのも手です。

傾きの度合いが低ければ、そのままの状態で買取専門業者に買い取ってもらうのがベストでしょう。

査定自体は無料でできるので、一度「すまいvalue」や「SUUMO」などを使って査定を取った上で、どうするか検討するのがよいと思います。

もし倒壊の可能性が高いレベルまで傾いていた場合は、一度更地にしてからでないと買い手がつかない可能性もあるため、出来る限り早めに査定を取っておくことをおすすめします。

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