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「マンションを貸すにはどうすればいいのだろう?」と悩んでいる人向けに、この記事では個人が所有するマンションの一室を貸し出すための手順や注意点を解説します。
法人が所有する「収益用のマンション一棟」ではなく、個人が所有している「住宅用の部屋」を貸したい場合に、どうやって借主を見つけるのか、必要な経費などはどれくらいかをわかりやすくまとめています。
例えば、「親からマンションの一室を相続したけど、自分は別に家があるので使わない」といった場合に、マンションを貸し出して家賃収入を得るという選択肢があります。
マンションを他人に貸し出す際には、金銭面での注意点があるのはもちろんのこと、契約上の注意点も非常に大事なので、しっかりとメリット・デメリットを理解した上で始めましょう。
自宅を賃貸として貸すまでの流れ
まずは自宅マンションを賃貸として貸すまでの流れについて解説します。
大きく4つの手順が必要なので、下記の順番で解説していきます。
- 利回りや手取り額を計算(収支シミュレーション)
- 不動産会社と契約して募集準備をする
- 入居者の審査、賃貸契約の締結
- 入居後に行う対応について
利回りや手取り額を計算
マンションを貸し出す際には、「貸し出すまでにかかる費用」がどれくらいで、「家賃としてお金がいくら手元に残るか」を調べなければなりません。
これをざっくりとでも計算しておかないと、そもそも「部屋を貸しているのに毎月赤字」という事態に陥ってしまう可能性もあるので、しっかりと計算しておきましょう。
特に貸し出しする部屋がまだローン返済中の場合は、「ローン返済を加味した上でちゃんと利益が残るか」を確認しないといけません。
この収入と支出を試算することで、不動産投資でいう「利回り」というものを知ることができます。
投資金額に対する収益の割合を数値化したものです。
ローンの残債や管理会社への管理料、固定資産税などの支出に対しての収益(家賃)を計算することで、年間利回りを算出することができます。
【計算式】
利回り=(年間収入-諸経費)÷(物件価格+購入時の諸経費)×100
今回は投資目的の物件ではなく、個人所有のマンションを賃貸するという前提なので、そこまで利回りにこだわる必要はありませんが、あまりに低い利回りでは手元にお金が残りません。
一般的な不動産投資であれば、利回り8%以上が理想と考えられていますが、これは地域によっても大きく変わるので、とりあえずは目安程度に考えておきましょう。
もしこの利回りが「マイナス」になってしまうとしたら、マンションを貸し出すことで毎月赤字が発生するということになるので、賃貸は今すぐやめて、売却するなど他の方法を検討しなければなりません。
家賃の金額に関しては、近隣の空室募集をいくつか調べて目安を出すか、あるいは不動産会社に依頼してシミュレーションしてもらうことができます。
なるべく正確な家賃がわかった方がよいので、不動産会社に聞く際は1社だけではなく、複数の会社に依頼して家賃シミュレーションをしてもらいましょう。
ちょっと面倒に感じるかもしれませんが、今はインターネットの見積もり比較サイトを使えば簡単にできる時代です。
例えば「マンションナビ」というサイトを利用すれば、マンション名などを簡単に入力するだけで、賃貸・売却両方の査定を依頼することができます。
最大で「売却6社」、「賃貸3社」の査定額を教えてくれるので、相場を調べる際には信頼性が高いです。
賃貸にした場合に、最終的に自分たちの手元にいくらのお金が残るのか?
これを冷静に確認することが大事なので、しっかりと相場を確認した上で、この先のプランを立てていきましょう。
不動産会社と契約して募集準備をする
大まかな家賃収入と経費を確認した上で、しっかり手元にお金が残る目安が立ったなら、次は不動産会社と契約して入居者の募集を始めます。
この時、信頼できる不動産会社(賃貸の場合は「管理会社」とも言います)を見つけられるかどうかが賃貸成功の分かれ目なので、これは非常に重要なポイントです。
不動産会社といっても会社ごとに特徴があり、売買が得意なところがあれば、賃貸が得意なところもあります。
当然ですが賃貸を得意としている不動産会社と契約しないと、入居者の募集や管理の面で苦労することになるので、しっかり選ぶ必要があります。
不動産会社を選ぶコツを解説するので、多少時間がかかったとしても、しっかり見極めて選ぶようにしましょう。
不動産会社を選ぶ時のコツ
まずは不動産会社の得意分野を見分ける方法として、マンションの賃貸物件をどれだけ多く掲載しているかを確認してみましょう。
掲載件数を確認することで、賃貸物件と売買物件のどちらに力を入れているかがある程度予想できます。
売買物件ではなく、賃貸物件を多数掲載している不動産会社の方が、当然ですが賃貸の仲介(住居人探し)に強いと予想出来ます。
その上で、1社ではなく複数の会社に相談して、対応などがしっかりしているかを確認しましょう。
コツは地元の不動産会社ばかりにではなく、全国展開しているような大手不動産やフランチャイズ店にも相談することです。
大手が必ずしも良いとは限りませんが、やはり集客力という点では大手の方が強いですし、もし売却の方も検討しているなら、全国展開している大手の方が高額査定を期待できます。
なかなか自分では見つけられないという人は、先ほどの「マンションナビ」などを利用して、いくつかの会社を比較した上で候補を見つけるのがベターだと思います。
不動産会社と管理会社
賃貸を行う際には「管理会社」という言葉を聞くことがあると思います。
一般的に入居者の募集を仲介してくれるのが不動産会社で、入居者のクレーム対応や家賃回収をしてくれるのが管理会社です。(※両方を行っている不動産会社も多いです)
仮に別々に依頼した場合だと、付き合いとしては管理会社との方が圧倒的に長くなります。そのため、対応の良い管理会社を探すことが重要です。
月々の管理料は各会社によって多少異なりますが、家賃の5%~7%くらいが相場です。
都心部だと管理専門の会社が複数ありますが、田舎の方になると不動産会社が入居後の管理までまとめて請負っているケースもよくあります。
まとめて一社に依頼してもいいし、別々に依頼してももちろん大丈夫なので、貸主が自由に選べます。
管理料や管理内容などを比較しながら、どの不動産会社に物件の管理を委託するか決めるようにしましょう。
なお管理会社を使わずに、オーナー自らクレーム対応や清掃などをする不動産は「家主管理物件」と呼ばれます。
この場合は月々の管理料はかかりませんが、クレーム対応や家賃回収などを自分でやらなければならず、かなり大変です。
夜中に「水道の水が止まらない」、「カギをなくして家に入れない」など連絡があることも…。
賃貸経営に慣れるまでは、管理はプロに依頼した方がよいと思います。
入居者の審査、賃貸契約の締結
不動産会社が決まったら、いよいよ入居者の募集を開始するのですが、その前に決めておくことがあります。
地域や物件の状況に応じて、下記のような項目を決めていきます。
- 家賃(駐車場・管理料含む)
- 敷金と礼金
- ペット飼育の可否
- フリーレントの有無
- 家賃保証会社の有無
- 契約期間(更新料など)
- 退去時の原状回復義務
わからない点は不動産会社が詳しく説明してくれますので、理解できるまでしっかり説明を求めてください。
入居審査について
入居審査は自分でやっても良いですし、不動産会社や家賃保証会社にお願いすることもできます。
最近は家賃保証会社を契約条件としている賃貸物件が増えているので、家賃保証会社の審査を入居審査とするケースも多いです。
家賃保証会社はクレジットカードなどと同様の審査基準を設定しているので、不動産会社や家主自ら審査するよりも信頼度が高いです。
また賃貸借契約についても、家主が自ら入居者と交わすことはせず、仲介の不動産会社が代理でやってくれますので、家主は不動産会社から送られてくる契約書に目を通して署名捺印して返送するだけでOKです。
よほど知識がない限り、自分で審査をすることは困難だと思うので、プロに任せた方がよいでしょう。
入居後に行う対応について
無事入居者が決まったあとは、大家(貸主)として以下の対応を行っていきます。
- クレームの対応
- 物件の巡回
- 未払い家賃の督促、回収
- 収支の計算
- 確定申告
1~3までは管理会社がすべてやってくれますので、収支の計算と確定申告だけ忘れずにやっておけば問題ありません。
よって、貸主としての大きな仕事は入居者が決まる前までであり、一番大事なのが「信頼できる不動産会社探し」ということになります。
管理会社を使わない場合は、入居者が決まったあともずっと対応に時間を取られますので、十分に考えた上でどちらにするか決めましょう。
マンションを貸す場合のリスクやデメリット
不労所得に魅力を感じるマンション賃貸ですが、リスクやデメリットも少なくありません。
大切な財産を見ず知らずの人に貸すのですから、軽い気持ちで始めるのではなく、しっかりとメリットやデメリットを理解したうえで検討しましょう。
空室が続くと赤字になってしまう
個人によるマンション賃貸では、赤字リスクも十分に考えられます。
特にまだローン返済中の物件では、大きな利益は見込めず、なかなか入居者が決まらない場合は家主の持ち出しが多くなります。
例えば家賃が月10万円で、年間でトータル30万円の黒字計算の物件だったとしても、3ヵ月空室期間があれば収支0になってしまいます。
空室リスクも理解してマンションの賃貸計画を立てるようにしましょう。
入居者からのクレーム、家賃未納などのトラブル
一番面倒なのがクレーム対応と家賃未払いトラブルです。
管理会社に委託しておけば、どちらも管理会社が対応してくれますが、お金を出すのも損をするのも家主であるあなたです。
エアコンが壊れれば修理代がかりますし、場合によっては新品へ買い替えなんてこともあります。
また家賃未払いが続けば、その人が部屋に住みつづけている間はずっと家賃収入が途絶える可能性があります。
さらに退去命令の裁判をするにもお金と時間がかかるので、家賃保証会社は必ず使っておいた方がよいでしょう。
借主優先なのですぐにはやめられない
マンション賃貸をするにあたり、絶対に覚えておかなければならないことがあります。
それは今の日本の法律では、貸している側よりも「借りている側」が強く守られているということです。
例えば家賃滞納が数か月続いたとしても、それを理由にすぐ裁判所が退去命令を出してくれるとは限りませんし、家賃未払いのうえ引っ越し費用まで家主側が支払うように命じられることもあります。
もし転勤も終わり自分たちがまたマンションに住みたいと思っても、契約次第ではすぐに退去してもらうことが難しい場合もあります。
相続したマンションについて、「とりあえず一旦貸しておいて、ゆっくり売却するかどうか決めればいいか」という話もよく耳にしますが、入居者がいる状況では売りたくても売れず、タイミングを逃してしまうこともあります。
このようなトラブルが嫌な場合は、入居者募集のハードルが上がりますが、「定期借家契約」という条件をつけることをおすすめします。
普通借家契約と定期借家契約の違い
貸主と入居者の契約形態には、「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類があります。
一般的な不動産賃貸として多いのは「普通借家契約」で、期間を限定して貸すのが「定期借家契約」となります。
定期借家の特徴は、あらかじめ契約期間を定めておくことができる点です。
例えば転勤などで3年間だけマンションを貸したい場合などに向いている契約内容です。
一般的な普通借家であっても、2年から3年で契約を更新しなければなりませんが、借主が住み続けることを希望すれば、家主(貸主)の一方的な都合で賃貸契約を解除することはできません。
しかし定期借家であれば当初決めておいた期間で契約が満了となるので、借主側が希望したとしても家主の意志で退去されることができます。
すごく単純な言い方をすれば、契約期間については、
普通借家契約 =借主側(入居者)の立場が強い
定期借家契約 =貸主側(家主)の立場が強い
と理解しおけばよいでしょう。
もちろん、貸主と借主の合意があれば、契約が満了したあとにそのまま再契約することも可能です。(※あくまでも再契約なので、更新や延長とはなりません)
貸主側としては、契約期間さえ終われば100%退去させされるので安心な契約ですが、借主側からすればまったく逆となるため、入居者の募集が難しくなるというわけです。
定期借家契約 | 普通借家契約 | |
---|---|---|
契約期限 | 制限なし | 原則1年以上 |
契約方式 | 書面 | 定め無し(口頭も可) |
更新 | なし(再契約は可) | あり |
どちらがより自分にとってメリットが大きいか考えて契約方法を選びましょう。
マンションを貸す場合にかかる費用
続いてはマンションを貸す場合にかかる主な経費について解説していきます。
貸し出す前の修繕、リフォーム費用
マンションを貸す前にある程度の修繕やリフォームをしておかなければなりません。
築年数が古いマンションであれば、修繕やリフォーム箇所が増えるので出費も多くなります。
築10年くらいのマンションでも、賃貸に出すための修繕リフォームで50万円くらいは想定しておきましょう。
壁紙の張替えとハウスクリーニングだけでも、軽く30万円は超えてしまいます。
築年数が浅いマンションでも、和室があれば畳の表替えとハウスクリーニングくらいはやっておくのが理想です。
畳の表替え相場は1枚5000円ほどで、ハウスクリーニングは3LDK~4LDKのファミリータイプで70,000円~100,000円ほどになります。
管理会社に支払う毎月の管理手数料
すでに解説しましたが、入居後の管理を依頼する場合は毎月の管理費を払うことになります。
管理料の相場は家賃の5%~7%程度ですが、これは地域によって若干差があります。
地方であれば3%程度で請け負ってくれる管理会社もありますし、パーセンテージではなく「一部屋あたり1,500円」といった定額で契約するケースもあります。
仮に家賃が10万円で、毎月の管理料が5%の場合は、月々5,000円の管理費を支払うことになります。
入居者募集のための宣伝広告費
これは地域や物件によって必要であるかどうかが変わるため、必ずしもかかる費用ではありません。
なかなか入居者が見つかりにくい物件の場合、入居者が決まった時点で家主から不動産会社に対して広告費という名目で謝礼金を出すことがあり、これを業界では「AD物件」と呼びます。
あまり褒められた習慣ではありませんが、不動産会社や営業マンもAD物件を優先的に決めたいという気持ちが強くなるので、なかなか入居者が集まらない物件の場合は、貸主がAD(広告費)を出すという流れです。
この謝礼金の相場は、家賃の1ヵ月~2ヵ月分ほどです。
放っておいても入居者が見つかるような人気エリアにおいては、このような謝礼金は不要となります。
退去時の修繕、クリーニング費用
入居者が退去したあと、新しい入居者を迎えるための修繕やハウスクリーニングが必要になります。
入居者が故意に壊したり傷つけた場所は原状回復として、入居者側に修繕費用を請求することができますが、壁紙の交換やハウスクリーニング、畳の表替えなどの費用は貸主が負担します。
原状回復については、これまで入居者の敷金から差し引くことが一般的だったのですが、国土交通省が定めた原状回復のガイドラインでは貸主側の費用負担割合が大きくなっているので注意が必要です。
詳しくは国交省のガイドラインを確認しておきましょう。
家賃収入を得た場合の税金について
マンションを貸して家賃収入を得た場合の税金や確定申告などについて解説します。
このページでは、本業として不動産経営をしている人ではなく、転勤や相続などで使わなくなってしまったマンションを貸す場合を想定しているので、「家賃収入以外に本業での給与がある」という前提で解説します。
不動産所得の考え方
マンションを貸すことで得た家賃収入は、不動産所得となり課税の対象となります。
1ヵ月の家賃10万円で貸した場合、1年間の家賃収入は120万円となりますが、この120万円から経費などを差し引いたものが「不動産所得」となります。
なお不動産所得は家賃だけでなく、以下のような収入も含まれます。
- 共益費
- 駐車場料金
- 礼金(※敷金は含まない)
- 更新手数料
家賃以外にも共益費や駐車場代を別途受け取っている場合は、忘れずに計上しましょう。
不動産所得+給与所得で計算する
不動産所得は、給与所得と合算することができる「総合課税」となります。
例えば給与所得が年間500万円だとしても、不動産所得が50万円の赤字だった場合、「500万円-赤字50万円」で、年間450万円の所得と計算します。
この450万円に対して課税されるのが「総合課税」の考え方です。
収入から差し引ける経費項目
経費が多くなれば所得が減り、結果として納める税金も安くなります。
ですので、経費として認められる項目についてはしっかりと理解しておきましょう。
以下のようなものが経費として認められます。
- リフォーム、原状回復などの修繕費
- 火災保険と地震保険
- 管理会社へ支払う管理料
- 固定資産税
- 住宅ローン金利
- 入居者募集の宣伝広告費(AD費含む)
- その他マンション賃貸に関わる雑費(清掃道具、交通費など)
これら経費を差し引いて残った金額が、その年の所得金額となります。
所得税と住民税の計算方法
日本における所得税は「累進課税」なので、所得が多くなれば税率が高くなる仕組みです。
以下のように税率が定められています。
所得金額 | 税率 |
---|---|
195万円以下 | 5% |
195万円を超え 330万円以下 | 10% |
330万円を超え 695万円以下 | 20% |
695万円を超え 900万円以下 | 23% |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% |
1,800万円を超え 4,000万円以下 | 40% |
4,000万円超 | 45% |
例えば「サラリーマンの給与所得が500万円」で、諸々の経費を引いた後の「不動産所得が50万円」の場合、合計で550万となるので税率は20%です。
550万円x20%という計算なので、この人の所得税は約110万円となります。
正確にはもう少し複雑な計算になるのですが、大きな誤差はないので大体の目安と考えて下さい。
上記の場合、マンション賃貸で増えた所得税の額は「50万円×20%=10万円」となります。
住民税
自治体によって多少の違いはありますが、総所得550万円であれば住民税の税率は約10%です。
所得税の計算のときと同じように、全体で550万円の所得に対して、かかる住民税は10%である55万円です。
その中で、マンション賃貸によって増えた住民税は「50万円×10%=5万円」となります。
よって所得税と住民税を合算すると、マンション賃貸で得た50万円の利益に対して、15万円の税金がかかる計算になります。
個人の場合は確定申告が必要に
サラリーマンが副業として家賃収入を得ている場合、毎年確定申告をしなければなりません。
ただし年間の家賃所得が20万円を下回る場合は、確定申告の義務はありません。
※上記は給与と家賃所得の2つしかないという前提です。もしその他の収入がある場合は確定申告が必要なケースもあります。
マンションを売却するのと貸すのはどちらが得か?
マンションを売るか貸すか…多くの人が迷うところですが、ズバリ「将来的な使い道が決まっていない」場合や、「住宅ローンを完済している」のであれば、売却をおすすめします。
理由としては、売却は売ってしまえば何も手がかかりませんが、賃貸はこの先もずっとクレーム対応や家賃未払いなどの心配が付きまとうからです。
そして何より空室リスクがあるので、人口減によって部屋数が余っている日本においては、売却した方が無難な選択だと言えます。
今はある程度の家賃が期待できたとしても、5年後、10年後には建物も設備も古くなり、家賃を値下げしなければならなくなる可能性もあります。
単純な利益面では「売却」した方がお得
収益性の面で考えても、やはり売却に利があるように思います。
比較しやすいようにローン残債がないと仮定して、手元に残るお金を計算してみましょう。
今持っているマンションが2000万円で売却できる物件であれば、仲介手数料などを払っても手元に「1900万円」は残る計算です。
これを賃貸として貸し出した場合、おそらく家賃として設定できる金額は「月10万」程度でしょう。
年間で120万円の家賃収入がありますが、ここからマンションの管理費や積立金を払った上で、さらに管理会社への費用や、固定資産税などを差し引けば、手残りは「年間70万円」程度になるでしょう。
売却した場合の1900万円を超えるには、27年もの長い時間がかかる計算になります。
さらにこの27年の間には、大規模な修繕やリフォームも必要ですし、入居者が変わるたびにハウスクリーニングなどの費用もかかるため、実際には30年以上になる可能性が高いです。
そう考えると、将来的に自分で住むと決まっていない限りは、売ってしまった方が手間の面でも金銭的な面でもメリットが多いと考えられます。
もちろん、物件の状態や地域によって家賃相場は変わってくるので、実際には売却した場合と賃貸の相場を調べてから判断してください。
売却に関しては、こちらの「マンション売却で高く売る秘訣は?」のページで詳しくコツを解説しているので、ぜひ参考にしてください。
マンション賃貸に関するよくある質問
マンションの貸し出しについて、よくある質問をまとめました。
なるべく高く貸すためのコツってあるの?
少しでも家賃を高く貸すコツは、他の賃貸マンションと差別化をすることです。
代表的なものとして、ペット可物件が挙げられます。
ペットをOKにすることで、ペット不可の物件より多少家賃が高くても、借主は見つけやすいでしょう。
もちろんペットがいることで部屋が傷みやすくなるので、修繕費を多く見積もっておく必要はありますが、このように差別化を行うことで家賃をアップすることはできます。
貸主は仲介手数料を払わなくていいの?
不動産会社は宅建業法により、賃貸時は該当物件の家賃1か月が手数料の上限と決められています。
普通は借主が家賃1か月分を払うケースが多いので、貸主側が仲介手数料を払うことはありません。
「あなたのマンションを貸せば儲かる」ってチラシは本当なの?
「あなたのマンションを貸せば儲かります」
「あなたのマンションを高条件で借りたい人がいます」
「あなたのマンションを買いたい人がいます」
このようなチラシがマンションのポストに投函されていることがありますが、これは本当でしょうか?
結論から言うと「何の根拠もない客寄せチラシ」なので、安易に信じないようにしましょう。
賃貸をはじめる前には、十分に収支を計算した上で慎重に判断する必要があります。
住宅ローン支払中のマンションを貸してもいいの?
ローン返済中のマンションの場合、基本的に賃貸として人に貸すことは金融機関との契約義務違反となります。
住宅ローンは借主本人が居住することを貸し付けの条件に入っているはずです。
転勤など仕方のない事情がある場合は、ローンを借りている金融機関にまず相談しましょう。
事前に相談することで、マンションを貸すことが認められるケースもあります。
期間限定で家を貸すことはできる?
一般的な賃貸借契約にあたる「普通借家契約」は2年更新とすることが多いです。
しかし2年経ったからと言って必ずしも入居者が退去してくれるとは限りません。
ですので、記事中で説明したように「定期借家契約」を利用しましょう。
定期借家契約であれば、貸主の望む期間で自由に部屋を貸すことができます。(もちろん、その分入居者を見つけるのが難しくなります)
まとめ
今回はマンションの一室を貸し出す場合の注意点やリスクについて詳しく解説しました。
一時的な転勤などであれば、定期借家契約を使って貸し出すことでリスクを抑えられますが、長期間に渡って部屋を貸す場合は慎重な判断が求められます。
一度入居者が入ってしまえば、好きな時に賃貸をやめるということはできなくなるので、将来の計画を十分に考えた上でどうするか決めましょう。
金銭的な面だけで考えれば、賃貸ではなく売却してしまった方が利益が多くなる可能性が高いです。
少子高齢化の日本では、今後物件が余っていくことが確実視されていますので、売却する場合はなるべく早めの方がよいでしょう。
迷った時は、賃貸と売却の両方の相場が調べられる「マンションナビ」などの見積りサイトを使って、実際の損益をシミュレーションしてから決めるのがおすすめです。