5LDKの注文住宅の価格相場と2階建て35坪、40坪の間取り例

注文住宅を建てるとき、家族の人数が多いと居室の数や配置など、間取りづくりに悩むところです。

今回は、5LDKの注文住宅を建てる場合に必要な広さや価格相場について解説します。

2階建てや平屋、マンションの間取り例やおすすめのハウスメーカーを紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

5LDKの家を建てるのに必要な広さ、坪数

5LDKは、LDK(リビング・ダイニング・キッチン)以外に居室が5部屋ある間取りで、4~6人家族に適しています。

厚生労働省の示す水準によると、4~6人が暮らす住宅に適した居住面積は次のとおりです。

居住人数都心・その周辺での共同住宅郊外や都市部以外での戸建て住宅
4人95㎡(約29坪)~125㎡(約38坪)~
5人115㎡(約35坪)~150㎡(約45坪)~
6人135㎡(約41坪)~175㎡(約53坪)~
参考:厚生労働省 住生活基本計画における居住面積水準

戸建ての5LDKでは38坪以上、マンションなどの共同住宅では29坪以上あるのが理想的です。

また、戸建てとマンションなどの共同住宅、さらには平屋と2階建てでは性質上LDKや居室の広さが変わってきます。

それぞれの間取り図を見て、広さを比較してみましょう。

平屋と2階建ての比較

全体の延床面積が同程度の間取り図で、平屋と2階建てを比較してみます。

5LDK 平屋の間取り(37.3坪)

出典:SUUMO 建築実例

5LDK 2階建ての間取り(36.4坪)

【1階】

【2階】

出典:トヨタホーム公式サイト

延床面積の広さはほぼ同じですが、平屋には階段スペースや2階トイレが必要ないため、2階建てよりLDKや各居室の面積を広く取れています。

一般的に階段には、4~5帖程度(約2~2.5坪)の広さが必要で、2階には階段からつながる廊下スペースも必要です。

2階トイレは、1~2帖程度(約0.5~1坪)のスペースを取ります。

すべて考慮すると、居住空間の広さが同じ場合、2階建ての住宅では平屋より6~8帖程度(約3~4坪)のスペースを追加で確保する必要があります。

一戸建てとマンションの比較

戸建てとマンションで広さを比較してみましょう。

5LDK 2階建ての間取り(36.4坪)
【1階】

【2階】

出典:トヨタホーム公式サイト

5LDK マンションの間取り(35.3坪)

出典:LIFULL HOME’S

マンションのほうが全体の延床面積はやや小さめですが、戸建ての2階建てよりも居住スペースを広く確保できています。

平屋と同じように階段や2階トイレのスペースを含まないためです。

ただ、戸建てのほうが、廊下や階段があることで個人のプライバシーを確保でき、ゆとりを感じられるというメリットはあるでしょう。

5LDKの家を建てるのに必要な予算金額

5LDKの家を建てるのに、どのくらいの予算が必要か、見てみましょう。

費用は、建築を依頼するハウスメーカーや建物の構造、土地購入の有無によって大きく変動します。

今回は、延床面積38坪の家を建てる場合の予算の目安を、次の3点で比較します。

● 大手とローコストハウスメーカー
● 建物の構造
● 土地の有無

記載している価格はあくまで目安ですので、実際の費用はハウスメーカーに見積もりを取って確認しましょう。

大手とローコストハウスメーカーで比較

ハウスメーカーによって、価格帯は異なります。

価格帯が高めの大手ハウスメーカーと、リーズナブルな価格帯のローコスト住宅で予算を比較してみましょう。

建築予算の目安(延床面積38坪)

建物本体工事価格総建築費(建物+付帯工事+諸経費)
大手ハウスメーカー3,040万円程度4,343万円程度
ローコスト住宅1,900万円程度2,714万円程度

積水ハウスやダイワハウスなどの大手ハウスメーカーでは、坪単価が80~100万円程度で、38坪の家を建てると総額4,343万円以上必要になります。

タマホームやレオハウスなどのローコスト住宅では、予算を3,000万以内に抑えられます。

今回のシミュレーションでは、大手ハウスメーカーとローコスト住宅では1,600万円ほどの差がありました。

建物の構造で比較

同じ38坪の家でも、木造や鉄骨など、建物の構造によって費用は変わります。

構造別による建物の本体工事価格の平均的な価格は、次のとおりです。

建物本体工事価格の目安(延床面積38坪)

構造建物本体工事価格の目安
木造住宅2,223万円程度
鉄骨住宅3,417万円程度
鉄筋コンクリート住宅3,492万円程度
※38坪=125.62㎡で計算
参考:国税庁 地域別・構造別の工事費用表(1㎡当たり)【令和5年分用】

木造住宅は地域の工務店からローコスト住宅、大手ハウスメーカーまで取り扱いがあるため、価格に幅がありますが、平均的な価格は2,223万円ほどです。

鉄骨住宅や鉄筋コンクリート住宅は、大手ハウスメーカーで取り扱われており、木造より材料費が高くなるなどの理由で価格が上がります。

特に鉄筋コンクリート住宅は、特別な建材や設備が必要で工期も長めになるため、最も価格が高くなります。

土地の有無で比較

家を建てる土地を持っているか、これから購入するのかによって費用が変わります。

土地がある場合

新たに土地を購入する場合は、土地購入費の予算も必要ですが、すでに土地を持っている場合でも、相続した土地に旧宅がある場合は解体工事が必要です。

解体費を予算に入れておきましょう。

30坪の家を解体する場合、費用は90万~240万円ほどかかります。

30坪の家を解体する費用の目安

旧宅の構造解体費の目安
木造住宅90万~150万円程度
鉄骨住宅120万~180万円程度
鉄筋コンクリート住宅180万~240万円程度

土地がない場合

土地がなく、新たに購入する場合の費用は、地域によって大きく異なります。

主要都市の土地の価格相場は、次のとおりです。

都道府県1坪あたりの価格相場
東京都約383万円
大阪府約105万円
神奈川県約89万円
愛知県約73万円
福岡県約68万円
北海道約26万円

必要な土地の広さを検討する際は、次の点を確認しましょう。

● 建てる家の建築面積
● 駐車場や庭の広さ
● 家を建てる土地の建ぺい率・容積率

建物の建築面積(建物を真上から見た面積)や、駐車場・庭の広さ以外に、建ぺい率・容積率による制限を考慮しましょう。

建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合)や容積率(敷地面積に対する延床面積の割合)は、それぞれの地域で個別に定められており、その土地にどれくらいの建物が建てられるのか制限しています。

たとえば、敷地面積40坪・建ぺい率60%・容積率200%の土地の場合、建築面積は24坪までとなります。

総2階建てなら、1・2階それぞれの床面積を24坪とした延床面積48坪の家が建てられるでしょう。

容積率200%だと、延床面積の上限は40坪×200%で、80坪です。

しかし、建ぺい率の制限があるため、延床面積を48坪以内にする必要があります。

戸建て5LDKのおすすめ間取り例

戸建ての5LDKでおすすめの間取り例を紹介します。

3世代で住む狭小地3階建ての間取り

出典:SUUMO 建築実例
延床面積113.69㎡(34.3坪)
間取り3階建て 5LDK + ウォークインクローゼット + ロフト + バルコニー + 車庫

3世代6人で住む3階建ての5LDK。

2階に家族全員が集まるLDKや洗面室・浴室、1・3階にそれぞれの個室を配置し、プライベートエリアとパブリックエリアを分けた間取りです。

個室を1階と3階に分けることで、世代で生活リズムが違っても生活音が響きにくく快適に過ごせます。

ウォークインクローゼットなどの十分な収納を設けているため、狭小地でも居住スペースを広々と使えます。

家事動線を効率化した回遊できる間取り

延床面積140.77㎡(42.5坪)
間取り2階建て 5LDK +ユーティリティールーム+ロフト+ウォークインクローゼット+バルコニー
出典:SUUMO 建築実例

1階は玄関、LDK、ユーティリティールーム、洗面室が回遊できる間取りです。

さらにキッチンから洗濯機のある洗面室、ユーティリティールームは一直線でつながっているので、家事動線にムダがなく忙しい時間帯も効率的に動けます。

1階の和室は来客用としてだけでなく、将来的には親と同居した場合にも個室として使用できるなど、時期によってさまざまな活用ができます。

クローゼットと洗面室が通り抜けられる身支度しやすい間取り

【1階】

【ロフト】

延床面積110.44㎡(33.4坪)
間取り平屋 5LDK + ロフト + ウォークインクローゼット
出典:トヨタホーム公式サイト

1階のリビングには大きな窓と吹き抜けが設けられ、開放的な空間が広がります。

主寝室からウォークインクローゼット、洗面室へ通り抜けられる設計なので、忙しい朝の身支度もスムーズに済ませられます。

キッチンから玄関につながる廊下には扉がなく、常に家族のつながりを感じられる間取りですが、料理のにおいや音が別室に広がりやすくなる可能性があります。

換気性能の高い換気扇を選ぶのがよいでしょう。

各居室に光が差し込む間取り

延床面積134.14㎡(40.5坪)
間取り2階建て 5LDK + ウォークインクローゼット + 玄関収納 + バルコニー
出典:SUUMO 建築実例

すべての居室が南側に配置され、どの部屋にも明るい光が入ります。

キッチンと洗面室は隣接しているので、家事の同時進行がしやすいでしょう。

2階のバルコニーで干した洗濯物を、そのままウォークインクローゼットへしまえる動線もムダのなく、時短になります。

各居室に収納スペースも完備されているので、散らかりにくく広々とスペースを使えます。

予算・特徴別のおすすめハウスメーカー

ハウスメーカーによって、建物の構造や性能の特徴、必要な予算はさまざまです。

4~6人家族で住む5LDKの注文住宅を建てる際に、おすすめのハウスメーカーを紹介します。

アキュラホーム

出典:アキュラホーム公式サイト

アキュラホームは、関東、東海、関西、中国地方で展開している木造住宅のハウスメーカーです。

ハウスメーカーの中でも標準的な価格設定でありながら、高い設計自由度やカスタマイズ性が評価されています。

木造住宅でも優れた耐震性が確保されているため、30帖にわたって柱や壁のない大空間や6mを超える大開口も設けられます。

予算を抑えながら自由度の高い間取りづくりがしたい、という場合におすすめです。

アキュラホームの間取りや坪単価の解説はこちらのページへ

タマホーム

出典:タマホーム公式サイト

タマホームは、「20代のTamaHome」というキャッチコピーのとおり、リーズナブルな価格で注文住宅が建てられるハウスメーカーです。

2022年度の注文住宅新設着工棟数は全国で3位という実績もあります。

タマホームのベストセラー商品は、「大安心の家」です。

耐震等級3、断熱等性能等級5などをクリアしているほか、標準仕様で長期優良住宅認定基準に対応しています。

低価格でありながら、初期保証10年、最長で60年と手厚い保証があるのも魅力のひとつです。

タマホームの間取りや坪単価の解説はこちらのページへ

トヨタホーム

出典:トヨタホーム公式サイト

トヨタホームは、大手自動車メーカー「トヨタ」のグループ会社で、鉄骨住宅をメインに木造住宅も手がけるハウスメーカーです。

価格帯は、大手ハウスメーカーの中ではミドルグレードからハイグレードに分類されます。

主力商品の「シンセシリーズ」は、ユニット工法(鉄骨ラーメン構造)が採用されており、平屋から3階建てまで、バリエーションの豊富な商品が用意されています。

さまざまなライフスタイルに合わせた多彩な商品が用意されているので、自分好みの家づくりが実現できます。

トヨタホームのユニット工法では、建物の約85%を工場で生産するため、一般的な在来工法より工期を大幅に短縮できる点も特長のひとつです。

トヨタホームの間取りや坪単価の解説はこちらのページへ

積水ハウス

出典:積水ハウス公式サイト

積水ハウスは、1960年の創業以来、累計260万戸以上を建築してきた実績のあるハウスメーカーです。

価格帯はハイグレードで、軽量鉄骨、重量鉄骨、木造住宅に対応しています。

「邸別自由設計」をうたっており、敷地や気候条件に合った住まいを提案することをポリシーに掲げているため、セレクト型の規格住宅はありません。

すべての構造で、大開口・大空間など自由度の高い設計が実現でき、デザイン性も高く評価されています。

家族それぞれの理想を形にできる構造とデザイン力が魅力です。

積水ハウスの間取りや坪単価の解説はこちらのページへ

5LDKの間取りについてよくある質問

5LDKの間取りについてよくある質問をまとめました。

4LDKと5LDK、どっちがいい?

各居室に明確な用途があるか確認しましょう。

居室の数が増えれば、それぞれの面積が小さくなるほか、各居室にエアコンを設置する場合は冷暖房費もかさみます。

居室の用途や必要性を明確にしておくことが大切です。

家事動線をよくするには?

居室が増えると、動線が複雑になりがちです。

家事動線を効率化するには、キッチンや洗面室などの水回りを集約し、回遊できる間取りを選びましょう。

洗濯物を干す場所や、収納するクローゼットなどへの動線も検討しておくのがおすすめです。

スペースに余裕があれば、洗濯機や部屋干しスペースを1カ所にまとめた便利なランドリールームを検討するのもよいでしょう。

将来、子ども部屋はどうする?

長期的に見ると子ども部屋が必要な時期は限定的なので、将来、子ども部屋をどのように活用するか、検討しておく必要があります。

仕事や趣味のための部屋、来客用の部屋、収納スペースなど、用途について事前に話し合っておきましょう。

また、将来的に複数の居室をひとつの空間にまとめるリフォームを行う予定がある場合は、新築時にあらかじめハウスメーカーに相談しておくのがおすすめです。

5LDKのメリット・デメリットは?

5LDKのメリット
● それぞれに個室を用意できる
● 二世帯でも住める
● 仕事用・趣味用などの専用部屋を設けられる

5LDKのデメリット
● 建築費・冷暖房費がかさむ
● 掃除の手間がかかる
● 将来、居室が余る可能性がある

5LDKの家を安く建てるには?

完全自由設計の住宅より、セレクト型の規格住宅のほうが、費用を抑えられる可能性があります。

セレクト型の規格住宅とは、さまざまな間取りプランや外壁デザインの中から、自分好みのプランを選択して家づくりを進めていくスタイルです。

予算に合ったハウスメーカーを選ぶには、複数のハウスメーカーから情報を集めて、価格や性能などを十分に比較・検討することが大切です。

まとめ

5LDKは、LDK(リビング・ダイニング・キッチン)以外に、居室が5部屋ある間取りで、4~6人家族に適しています。

戸建ての場合は延床面積38坪、マンションなどの共同住宅では29坪以上あると理想的です。

5LDKの注文住宅を建てる費用は、ハウスメーカーや建物の構造、性能によって変わります。

複数のハウスメーカーで費用や性能を比較したうえで、慎重に検討しましょう。

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