3LDKの注文住宅を建てる場合の価格相場と間取り例を紹介します。
SUUMOカウンターが実施したアンケート調査では、注文住宅を建てる人の23.3%が3LDKを選んでいます。
3LDKの注文住宅の建築費の相場や住宅会社選びのポイントなども解説しますので、ぜひ家づくりの参考にしてみてください。
3LDKの家を建てるのに必要な広さ、坪数は?
2022年に住宅金融公庫が住宅ローン「フラット35」申込者に実施した調査によると、注文住宅の住宅面積の全国平均は123.8㎡(37.4坪)。
この数値は2014年度以降、8年連続で縮小を続けています。
続いて国土交通省が実施した「住生活基本計画」に基づいて、家族の人数別に必要な坪数と間取りの目安例を紹介します。
家族構成 | 建物の面積(坪数) | 間取り |
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2人家族 | 50㎡~75㎡ (16.4坪~22.7坪) | 1LDK~2LDK |
3人家族 | 75㎡~100㎡ (22.7坪~30.2坪) | 2LDK~3LDK |
4人家族 | 95㎡~125㎡ (28.7坪~37.8坪) | 3LDK~4LDK |
5人家族 | 115㎡~150㎡ (34.8坪~45.3坪) | 3LDK~5LDK |
この数値からすると全国平均の123.8㎡というのは4人家族に該当するのですが、最近は3人~4人家族でも100㎡(約30坪)くらいの注文住宅を建てる人が増えています。
同じ3LDKの一戸建てでもニ階建てと平屋では居住スペースに大きな差が出ることがあります。
さらに言うと戸建てとマンションでは同じ3LDKでも全体的な広さ(面積)自体が大きく違ってきます。
戸建ての3LDKだと平均100㎡程度なので約30坪ほどの建物になりますが、マンションの3LDK平均は70㎡ほどだと言われていますので、約21坪ほどの広さしかありません。
実際に間取り図をみながら、どれほど広さが違っているのか比較してみましょう。
平屋とニ階建ての比較
【3LDK、2階建て間取り図】
【3LDK、平屋の間取り図】
ニ階建て | 101.80㎡(30.8坪) |
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平屋 | 101.00㎡(30.5坪) |
こちらのニ階建てと平屋は、延床面積だとどちらも30坪の間取り図です。
しかし、間取りを見てもらってわかるように、平屋の方がLDKも広いですし主寝室も広くなっています。
同じ30坪ですが平屋住宅の方は階段スペースがいらないので、そのぶん各部屋を広めにすることができます。
一般的な階段だと1階と2階合わせると約2坪(4畳分)ほどのスペースが必要になり、2階にはホールや通路も必要になります。
そう考えるとニ階建てに比べて平屋の方が3~4坪ほど居住スペースとして使える空間が多くなることがわかります。
一戸建てとマンションの比較
【3LDK、2階建て間取り図】
【3LDK、分譲マンションの間取り図】
ニ階建て | 101.80㎡(30.8坪) |
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平屋 | 70.00㎡(21.2坪) |
次にニ階建てと分譲マンションの3LDKを比較します。
マンションの3LDKだと平均すると70㎡ほどしかありませんので、坪数だと約21坪となります。
戸建ての3LDK平均が100㎡の30坪なので、数字だけ見ても広さの違いがわかります。
この9坪とは、畳に換算すると18畳分になります。
マンション販売の営業マンは、「戸建の場合だと階段がありますし、2階の通路やトイレで6坪~7坪ほど必要になるので、70㎡のマンションと比較しても部屋の広さはあまり違いませんよ」というセールストークをしてきます。
それでもこうやって実際の間取り図を見比べると、やはりマンションより戸建て住宅の方が全体的にゆったりした広さを確保できていることがわかります。
3LDの家を建てるのに必要な予算金額は?
3LDKの家を建てるのに必要な予算金額を30坪の建物を目安に紹介します。
大手・ローコストハウスメーカーの比較
同じ30坪でも、大手ハウスメーカーとローコスト住宅では価格も全然違ってきますし、建物の構造や土地の有無でも異なるので、それぞれの価格相場を見てみましょう。
【30坪の注文住宅を建てた場合の費用相場】
業者 | 本体工事価格(建物のみ) | 総建築費(建物+付帯工事+諸経費) |
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大手ハウスメーカー | 約2,400万円 | 3,120~3,250万円 |
ローコスト住宅 | 約1,650万円 | 2,145~2,250万円 |
積水ハウスや住友林業など、大手ハウスメーカーだと30坪の3LDKでも総費用3,000万円を超えてきます。
タマホームやレオハウスなど、ローコスト住宅だと30坪の3LDKであれ総費用2,200万円ほどなので、大手ハウスメーカーと比べ1,000万円ほど予算を抑えることができます。
構造別の価格相場
木造の家(建物のみ) | 1,650万円~2,250万円 |
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鉄骨の家(建物のみ) | 2,400万円 |
鉄筋コンクリートの家(建物のみ) | 2,700万円 |
木造住宅はローコスト会社もあれば、大手ハウスメーカーもあるので価格の幅が出てしまいます。
鉄骨住宅は木造に比べて建築費は高くなる傾向が強く、一般的な相場だと大手ハウスメーカーの木造住宅より少し価格が張ります。
鉄筋コンクリートは高層マンションなどにも採用されている構造で、比較した3つの構造では一番高額です。
土地有りと土地無し
土地有りで多いのが、実家を相続して建て替えするケースです。
この場合、土地代は掛かりませんが建物の解体費が発生するので予算組みを忘れずにしておくようにしましょう。
30坪~40坪の木造住宅であれば解体費として200万円ほどみておけば問題ありません。
ただし別途測量費が発生することがあり、確定測量だと100万円以上の費用が掛かります。
次に土地から購入するケースですが、地域によって土地の相場は大きく異なります。
公示地価の都道府県ランキングから主要都市の相場価格を抜粋してみました。
主要都市 | 1坪あたりの価格相場 |
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東京都 | 約383万 |
大阪府 | 約105万 |
愛知県 | 約73万 |
福岡県 | 約68万 |
北海道(札幌) | 約26万 |
札幌市は北海道全体の平均相場になっているので、札幌市のみだと1坪あたりは35万円~40万円程度です。
同じ金額くらいの土地でも状況によって造成費用や水道・ガスの引き込み工事費用が掛かることもあります。
なるべく費用を抑えたいのであれば、造成費用や水道・ガスの引き込み工事が不要な分譲地を購入することをおすすめします。
3LDK一軒家の人気間取り例
延床面積30坪~35坪くらいの間取り例を中心に紹介します。
広めのリビングを優先した間取り
ハウスメーカー | パパまるハウス |
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延床面積 | 109.68㎡(33.18坪) |
30坪~35坪ほどの2階建て住宅であれば、LDKの広さは16帖~18帖程度なのですが、今回紹介する間取りでは33坪の家でLDKは21.7帖もあります。
30坪~35坪ほどの住宅で20帖以上のLDKを希望するのであれば、その代償も必ず出てしまいます。
今回の間取りでいうと、LDKを広くしたことで1階にはほとんど収納スペースが見当たりません。
階段下のスペースもトイレになっていますし、キッチンには食品庫なども備わっていません。
このようにLDKを広くしたいのであれば、必要なスペースを何かしら削る決断が必要になります。
広いLDKは憧れだと思いますが、デメリットとなる部分もしっかりと確認しておくようにしましょう。
30坪でも広い部屋が欲しい3LDKの間取り
ハウスメーカー | トヨタホーム |
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延床面積 | 99.60㎡(30.1坪) |
主寝室や子供部屋など、家族それぞれの部屋をなるべく広めにした間取りです。
30坪の3LDKだと、主寝室は6帖~8帖、子供部屋は4.5帖~5.2帖くらいの広さが一般的ですが、こちらの間取りだと主寝室8.5帖、子供部屋5.9帖~6.2帖と広めになっています。
その代償として2階には通路部分がほとんどありません。
通路面積を最小限に減らすことで、各部屋の面積を広めに確保することができています。
通路面積が少なくなる程度なら問題ないと思う人も多いでしょうが、2階の各部屋が階段に近いほど1階の音が2階まで届きますし、2階のドアとドアの距離が近い分、各部屋の話声や物音が気になってしまうでしょう。
家事効率の良い3LDKの間取り
ハウスメーカー | クレバリーホーム |
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延床面積 | 103.09㎡(31.17坪) |
クレバリーホームの総二階建て住宅の間取り例です。
この間取りを見て最初に感じたのは、水まわりがスッキリ1箇所にまとめられていることと、玄関からキッチンまでの動線の良さです。
ランドリールームも1畳ではなく、1.5帖と少し広めになっていて、洗面所が独立しているので使い勝手がよい配置という印象を受けました。
料理や洗濯をしていても、来客時にサッと玄関までいける回遊動線になっているのもポイントです。
よくまとまった良い間取り例だと思います。
広いリビングがある平屋の間取り
ハウスメーカー | 桧家住宅 |
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延床面積 | 98.54㎡(29.8坪) |
30坪ほどの平屋であれば、2階建て住宅のように階段や2階通路のスペースが不要なので、18帖~20帖ほどのLDKをつくるのは難しくありません。
それよりもさらにLDKに広さを求めるのであれば、今回紹介している間取りのように建物全体をコの字型にして、LDKから繋がるようなウッドデッキやテラスを設置すると、より一層開放感のあるリビングにすることができます。
それとリビング部分だけでも天井を高くすると、さらに広く感じる空間づくりができます。
小さなお子さんがいる家庭で、ウッドデッキや中庭を設ける場合はキッチンから目の届くような間取り配置しておくと安心です。
予算、特徴別のおすすめハウスメーカー
3LDKの新築マイホームといっても木造住宅や鉄骨住宅など、建物の構造も住宅会社によって違いますし、大手のハウスメーカーとローコスト住宅では価格も大きく違ってきます。
今回は、3LDKの注文住宅を建てる方におすすめのハウスメーカーを5社ピックアップして紹介します。
アキュラホーム
アキュラホームは、間取りの自由度が高い木造軸組工法を採用しているハウスメーカーです。
アキュラホームの家は、耐震性や耐久性に優れており、価格帯もリーズナブルですが長期優良住宅の基準もしっかりとクリアしています。
おすすめ商品は「超空間の家」です。
超空間の家は、独自技術によって壁や基礎の耐震性や耐風性を向上させたことで、木造住宅では最高クラスとなる天井高2.8m、約6mのワイド開口を実現しました。
こうした技術により鉄骨住宅にも負けない約30帖の無柱空間にも対応できます。
アイ工務店
アイ工務店は自由設計、長期優良住宅に標準対応。
住宅性能評価8項目で最高ランク相当の高い品質で省エネ性に優れ、高耐震・高耐久なので家族が安心して暮らせる家づくりをしてくれます。
おすすめの商品は「N-ees(ニーズ)」です。
2050年カーボンニュートラルな社会の実現に向け、住まいもより省エネ性能を向上させる必要性に着目し「W断熱」+「高性能トリプルガラスサッシ」などを標準採用し、UA値0.4以下という高水準な断熱性能を備えた住宅商品です。
セルコホーム
セルコホームでは寒冷国カナダの輸入住宅を建てることができます。
セルコホームの輸入住宅は耐震性や気密性が高く評価されているツーバイフォー(2×4)やツーバイシックス(2×6)で施工される木造住宅です。
セルコホームはフランチャイズ展開しているため、住宅資材や設備品を一括仕入れすることで建築コストを抑え、高額になりがちな輸入住宅のなかでもローコスト化を実現しました。
おすすめの商品は「THE HOME(ザ・ホーム)」です。
THE HOMEは、「外観」「躯体」「インテリア」「窓」「玄関」の5つのポイントから、全く異なるデザインを自由に選択することで、オリジナルの家づくりができます。
トヨタホーム
トヨタホームはトヨタグループに属するハウスメーカーで、鉄骨造の住宅を建てることができます。
鉄が得意なトヨタグループだからこそ実現できる鉄骨構造は地震に強く、業界でも最高レベルの耐震性があります。
3階建て住宅におすすめの鉄骨住宅ですので、敷地が狭い都心部などに向いています。
トヨタホーム内のおすすめの商品は「シンセシリーズ」です。
シンセシリーズの商品は、高層ビルでも使われる鉄骨ラーメン構造を採用。
単体でも強い柱と梁をボックス化し、柱と梁の接合部は変形防止プレートでさらに強化することで、標準仕様でも耐震等級3の家づくりができます。
3LDKの間取りを考える際によくある疑問、失敗例
3LDKの間取りを考える際の失敗例や、紹介しきれなかった質問や疑問をまとめてみました。
エアコンが効きづらい
4LDKではなく、3LDKを希望する理由として「LDKを少しでも広くしたい」という人が多くいます。
LDKを広くすることでエアコンが効きづらくなったという失敗例があります。
LDKを少しでも広くするためには、リビング階段を採用することも少なくありませんので、これもエアコンが効きづらくなる理由の1つです。
このような失敗をしないためには、気密性の高い家を建てること、リビング階段にはドアを設置するなどの対策があります。
家事をしていると子どもに目が届かない
広いLDKを希望することで、L字のLDKにするとキッチンから子供たちへ目が届かなくなることもあります。
小さなお子さんがいる家庭では、家事や炊事をしながらでも子供たちへ目が届く間取りづくりというのは大事です。
広めのLDKにすることばかりに意識が向き、結果として家族の安全が蔑ろになることがあるので注意しましょう。
来客用の部屋がない
4人家族で3LDKの間取りにすると、来客時の空き部屋がないので寝室が足りません。
子どもが小さいうちは、祝い事も多く、両親や親戚など来客が増えがちです。
4LDKにしてゲストルームをつくるのが難しい場合は、リビングに小上がりの畳スペースを設けて来客時の寝室にするのも一つのアイデアです。
畳なら布団だけで泊まれますし、間仕切りやロールスクリーンでプライバシーも確保できます。
将来的な部屋の用途を考えておく
将来的には親と同居する予定だったので、1階に広めのファミリークローゼットを作っておき、そこを将来的にリフォームして親の部屋として使ってもらう。
似たような考えの人は少なくないでしょう。
この場合、ファミリークローゼットとして使用するので直射日光を避けるため、窓はなるべく小さくするのですが、親の部屋として使うことになったら窓の小ささがネックになります。
将来的な用途のことまでしっかりと考えた設計をするようにしましょう。
3LDKと4LDKどっちがいいのか?
3LDKと4LDKで迷っているときは、家族の生活スタイルや趣味を考慮してください。
例えばバーベキューやキャンプなどの趣味がある人は荷物が多くなりやすいので4LDKがいいでしょう。収納部屋を作ることで家全体が散らかってしまうのを防げます。
大きめのテレビやソファを置いて、ゆったりとした開放的な空間を希望するのであれば3LDKがおすすめです。
その他には家族構成や将来的な介護まで考えておきましょう。
特に気にしたいのが子供たちの年齢です。
中学生くらいだと実家で過ごす期間も短いので、子供の数だけ個室を用意すると将来的に用途がない部屋が増えてしまうだけです。
逆に子供が幼ければ自分だけの個室を用意してあげる優先順位も高くなります。
将来は親の面倒をみる立場にあるのでしたら、同居することを想定した間取りを考えなければなりません。
3LDKの家を安く建てる方法はありますか?
3LDKの家を新築で建てたいのであれば、間取りが決まっている規格商品が一番建築費を抑えることができます。
ただし、注文住宅のように自由に間取りを決めることはできず、あらかじめ用意された数十~数百パターンの間取りから選ぶことになりますが、住宅会社によっては規格型住宅の取扱いがないこともあるので確認してください。
または既に建物が完成している3LDKの建売住宅を購入するのも費用を抑える1つの方法です。
まとめ
核家族化が進むことで3LDKは現代の家族構成にマッチしやすく、建物の坪数と部屋数のバランスを取りやすい間取りです。
平屋と2階建てどちらにも相性がよいので、3LDKを希望する家族は年々増加傾向にあります。
3LDKのメリットとデメリットを簡単にまとめると
メリット
- 建築費を抑えることができる
- リビングや部屋を広めにつくれる
- 趣味や来客用の部屋がつくれる
- 家事動線がつくりやすい
デメリット
- 来客用の寝室がない
- 子供が増えたとき部屋が足りない
- 親世帯との同居には不向き
- 分譲マンションと比較されやすい
- 売却するとき4LDKに比べて売れづらい
3LDKの注文住宅にかかる建築費用は、ハウスメーカーや建物の性能などで変動します。
ただ建物本体の建築費だけを比較するのではなく、建物の性能や間取りのバランスも考えコストパフォーマンスの高い家づくりを心がけましょう。